地中熱の利用方法について(環境省が発行しているパンフレットから抜粋)

01kannkyou.jpg

以前も書きましたが、平成23年ごろから、環境省は「全国に設置してある地中熱利用システム」の実態調査をおこなっています。
*環境省からの調査依頼については、下記をクリックしてご覧ください。
環境省からなにか郵便物が届きました・・・???(地中熱利用システム/全国設置状況調査報告)

しかも、現在(平成26年)でも、継続的に実態調査をおこなっています。(本年8月も、調査依頼が届きました)

そして、調査した結果を【地中熱利用システム パンフレット】として、環境省が配布しています。
*環境省が配布している【地中熱利用システム パンフレット】をダウンロードしたい方は、下記をクリックしてください。環境省のホームページにリンクされています。

地中熱利用システム パンフレットのダウンロードサイト

<詳しくはこちらをクリック>

住宅/冷暖房として「地中熱利用」に興味をお持ちの方へ

最近、テレビ・雑誌で取り上げられている【地中熱利用】、実は、決して最先端の技術ではないのです。
(テレビ・雑誌等では、日本では1970年代から研究がスタートしたと紹介されています。確かに、地中熱を住宅や建築物の冷暖房用として利用するための研究はオイルショック後から各社が研究をスタートしたようです)

住宅に「地中熱」を取り込むことは、全く新しいアイデアではなく、古くは縄文時代の竪穴式住居でもおこなわれていました。
暖房器具や断熱材の無い時代に「快適に暮らす工夫」として竪穴式住居では地中熱を利用していたと考えられています。
*その後、高床式住居になってから「日本の住宅は寒くなった」と考えられています。

*竪穴式住居の構造については下記をクリックしてご覧ください。
(竪穴式住居)あびこ電脳考古博物館サイト/竪穴住居構造

エコホームズが開発した地中熱利用システム(名称:エコシステム)は、アイヌ民族の伝統的民家「チセ」の研究結果をもとにシステムを構築しました。
「チセ」とは下記の住居です。(画像をクリックすると拡大表示されます)

chinetu201107002.jpg

chinetu201107004.gif

<詳しくはこちらをクリック>

地熱利用って何ですか?

エコホームズのホームページをご覧いただきましてありがとうございます。
玉川和浩です。お施主様や同業者からは「タマチャン」と呼ばれております。
さて、これから、私達が住宅に活用している【地中熱利用=地熱利用】についてご説明させていただきます。非常に長い内容ですが(いつもすみませんね・・・・)最後までお読みいただけますようお願い申し上げます。

玉川和浩

<詳しくはこちらをクリック>

「床下システム」(地熱利用システム)とは?

【外断熱の地熱住宅】では、地熱利用のシステム(名称:床下システム)と24時間換気システムを一つのコントローラーで制御しています。

この仕組みをご説明します。

1)床下にある配管は、地熱利用をおこなうための「床下システム」の一部です。(洗面脱衣室に設置してある「点検口」を開けると床下を見ることができます。)

そこには、給水・給湯の配管(下記の写真では、給水=青色 給湯=赤色)と排水管の横に太目の管があります。
それが「地熱利用システムの配管の一部」です。(画像をクリックすると拡大表示されます)

地熱利用 床下システム


下記の写真も床下システム(配管部分)の一部です。(画像をクリックすると拡大表示されます。オレンジ色のキャップは「工事期間中、管内にホコリが入らないためのもの」です。お引渡し前に、オレンジ色のキャップは外します)

yukasita0001.jpg

<詳しくはこちらをクリック>

アイヌの伝統民家「チセ」

宇佐美智和子(SOLAR CAT 1999 Winter no.37より)


アイヌの伝統民家「チセ」
民家とその住まい方には、永い歴史の中で育まれ磨かれた、その地域特有の工夫が見られます。
アイヌの伝統的な住居である「チセ」には、厳寒の地で生きていくためのどのような知恵が培われていたのでしょうか。

市立旭川郷土博物館と共同で、その解明に着手したのは、1981年でした。
まず、復元標本住居のチセで、アイヌの長老より聞き出した防寒対策を施して宿泊体験し、それによって疑問が生じ、改めて文献や資料を調べて実験測定をする。そしてまた宿泊体験をするという作業を繰り返し、生活が営まれたチセの室内環境が、10年近くかかりましたが、ある程度明らかになりました。

<詳しくはこちらをクリック>

地温が上昇すると室温が上がる!実証データ

地温が上昇すると室温が上がる実証データ
● 加熱チセ:日中だけ、雪が融けない程度に薪を燃やしたチセ
● 無加熱チセ:加熱チセとの温度測定データー比較のため、全く薪を燃やしていないチセ

<詳しくはこちらをクリック>

NEF 財団法人 新エネルギー財団「地熱エネルギー」NO.96 2001/10月号掲載

雑誌「地熱エネルギー」 特集:地中熱の利用

<詳しくはこちらをクリック>

第5回「建築・省エネルギー賞住宅金融公庫総裁賞」受賞作品

第5回「環境・省エネルギー住宅賞 住宅金融公庫総裁賞 受賞

<詳しくはこちらをクリック>

外気と地中との温度タイムラグを活用する地熱住宅

2000年12月3〜5日、名古屋大学で行われた「日本地熱学会・平成13年学術講演会」に、講演依頼を受けて研究室の宇佐美と木村が参加。宇佐美は12月4日に下記の内容で講演しました。地熱を戸建住宅に生かす「地熱住宅」に大変な関心がよせられ、講演後、宇佐美は参加した皆さんに取り囲まれ、質問責めにあったそうです。



外気と地中との温度タイムラグを活用する地熱住宅
Geothermal house utilizing time-lag conservation of energy from air stored under ground.

宇佐美智和子・玉川和浩・木村知子・津吹哲男
C.Usami,K.Tamagawa,T.Kimura,and T.Tsubuki


地熱住宅は外気温と浅層地中温度とのタイムラグを活用した住宅である。
 アイヌの伝統民家「チセ」は、“夏においても決して火を絶やさない”という伝統的な住まい方によって冬に向けての土間床の冷え込みを抑え、「浅層地中温度(地下5m近傍)は外気とのタイムラグで夏冬が逆転する」という地中の性質との相乗効果によって、冬季の土間床地中に大蓄熱層を形成して、チセの温熱環境を支えていたという知見がある。

 南関東では、冬に地下5mが18℃余りの年間最高温度になる。そこで、住宅内の温度を支える床下地中を地下5mと同じ環境条件に近付けて、夏からの熱を冬まで持ち越す地熱住宅の開発を図った。まず、基礎部分からの外気による冷え込みを抑えるために、基礎外断熱を強化した。

また、室温低下→床下温度低下→ 床下地中温度低下を招かないためにも住宅の断熱・気密性能を重視した。住宅の屋根・壁・基礎の外側から断熱する完全外断熱によって高断熱高気密にし、日本の気候において熱収支に決定的な影響を与える窓については、二重サッシ+断熱雨戸で自然熱取得と遮断を両立させた。その上でチセの継続加熱に倣って、住宅上方に溜まっている日射熱を床下に放出する冬用床下システムを付設した。

 外気と床下地中との温度タイムラグを長くしたこの地熱住宅は、冬の冷熱も夏の床下地中に持ち越して貴重な低温源となる。夏の床下低温は多湿を招くので耐久性のために本格的な除湿対策が必須である。数々の除湿対策を図っている中で、決定的な威力を発揮するのは、床下低温空気を吸い上げて活用しつヽ床下を除湿する夏用床下システムである。

 この浅層地中温度で住宅全体が支えられる地熱住宅は、千葉県下に430棟余提供をしてきたが、冬季はほとんど暖房をしないか、ホットカーペットやコタツを補助的に使用する程度である。日射取得などの環境条件によっては、18℃程度の設定温度で継続暖房している。夏は住まい方で大きく差が生じるが、2階のエアコン1台を継続的にドライ運転(27℃前後)して床下を含む家中の除湿器として使用するように勧めている。

 地熱を活用していることを検証するために、まず、成田モデルハウスにおいて建設時に地下5mまで住宅内外に温度センサー90本を埋め込み、1997年3 月より2001年8月末まで測定を継続してきた。冬季の床下地下1mの温度を地下5mの温度より2℃前後高い20℃前後で持ち越すことができた。毎年少しずつ床下地温が上昇している。

冬中、床下から地下5mまでの18℃〜20℃の大蓄熱層を形成しており、その安定した温度で家中を支え包んでいる温熱環境になっていることが実証された。次いで、2000年3月に竣工した実際に生活が営まれている住宅で、地下5mまでの実測データとエアコン消費電力量計測で検証している。夏季は床下システムによって床下に吸い込まれたエアコンのドライ空気が、タイムラグ効果で低温を保っている床下土間で一層冷やされて住宅上方から放出・再利用される。その結果実質延べ床面積208㎡のこの住宅は、エアコンを夏冬24時間稼動させる生活と相まって、年間消費電力は 1868kWh・年間消費電力料金約37000円であった。