【地熱リフォーム:屋根編】 屋根の高断熱化が重要です!
【地熱リフォーム(エコリフォーム+地中熱利用システム)】において、最も重要な部分、それは【屋根】と【壁】と【基礎】の断熱です。
今回は【屋根の断熱】がどうして重要なのかについてご説明します。
四季がある日本の住宅(つまり、寒い冬と暑い夏がある地域)では、本来、屋根の断熱が重視されてきました。
古い民家を思い出してください。大きな屋根が萱で造られています。分厚い萱は抜群の断熱性能を有していました。
では、なぜ?屋根の断熱が重要なのでしょうか?
「夏の暑さ」と「冬の寒さ」という点で説明させていただきます。
【夏の場合】
・日射(太陽光)は直接空気を温めません。日射があたる部分の固体や液体を温めます。住宅でいえば、屋根材や壁材などです。
・壁材よりも屋根材の方が日射がより多くあたるため、屋根材がまずは高温になります。そして、その熱が「屋根材付近の空気」や「屋根材の下にある材料(木材など)」を熱くします。そのため、屋根材のすぐ裏側に全く断熱材が無い場合(これが一般の住宅です)、日射によって熱くなった屋根材の熱が屋根裏に伝わります。このため、夏は屋根裏が猛烈に暑くなります。
・夏は、外気温度よりも屋根裏の方が暑くなるのはこのためです。(試しに、夏の暑い時に屋根裏に登ってみてください)
屋根裏が猛烈に暑くなると、熱は高い方から低い方へ移動しますので、2階の部屋をいくらエアコンで冷房したとしても、屋根裏からの熱によって暑くなってしまいます。
【冬の場合】
・夜間、空に雲が全く無いような時、放射冷却によって、屋根材から宇宙空間に向かってどんどん熱が逃げていきます。
・熱は高い方から低い方へ移動します。(放射冷却では、輻射によって、熱が宇宙空間へ逃げていきます)
例え、外気がマイナス10度であっても(そのため、屋根材がマイナス10度に冷やされています)、宇宙空間の温度(マイナス270度/3K)に比べると、(マイナス10度であっても)屋根材の温度は高いのです。そのため、屋根材から宇宙空間へどんどん熱が逃げていきます。
・その結果、良く晴れた冬の夜は、屋根裏は外気よりも温度が低下します。室内側でも「熱は高い方から低い方へ移動」しますので、屋根裏がガンガンに冷やされると室内側の熱が屋根裏へ逃げてしまいます。
*下記の画像は、夏 外に駐車している車の様子です。宇宙に面している部分は結露していますね。宇宙に面している鉄板は放射冷却によって冷やされます。そのため、表面温度が下がって結露するのです。宇宙に面していない横の面は結露していません。住宅でいうと外壁部分です。
つまり、宇宙空間(太陽)に面している【屋根】は、住宅内を少ない冷暖房エネルギーで快適にするためには、断熱を最もしっかりとしなければならないのです。
そこで、エコリフォームにおいて、最も重要な断熱工事は【屋根】部分になります。屋根の断熱工事ですが、基本的には2種類の方法があります。
1)古い屋根材を剥がし、屋根も外断熱工法でおこなう。(屋根部分の外断熱後、新たに屋根材を葺き直します)
2)屋根裏側を「発泡ウレタンによる吹き付け」で断熱をおこなう。(屋根材の葺き替えは必要ありません)
*発泡ウレタンによる断熱工事については、下記もクリックしてご覧ください(↓)
○中古住宅を「高断熱・高気密住宅」へ変身させる!(省エネリフォーム工事)
既存住宅の屋根断熱(外断熱工法)工事についてご説明します。
下記の写真は、神奈川県横浜市で地熱リフォームをおこなっている現場の写真です。
工事を担当しているのは「株式会社渡辺ハウジング」さんです。
*神奈川県横浜市/F様邸の地熱リフォームの様子については、下記をクリックしてご覧ください(↓)
○株式会社渡辺ハウジングサイトスタッフ◇Blog内に記載してある「横浜市F邸エコリフォーム」をご参照ください。
1)古い屋根材を撤去します。(下記の写真は築20年を超えたコロニアルです)
2)既存下地(野地板)の上に、板状の断熱材(写真の断熱材はネオマフォームです)をはります。
断熱材の上には通気用垂木を設置していきます。
3)通気用垂木の上に野地板を施工し、その上面にアスファルトルーフィングを敷きこみます。
4)屋根材を葺き替えます。
棟の部分には通気部材を設置します。
エコリフォームにおいては、上記の「屋根部分」の断熱工法の他にも「小屋裏敷き込み断熱工法」(いわゆる天井断熱です。天井裏にマット状グラスウールなどを敷き込みます)、「小屋裏吹込み断熱工法」(天井裏にバラ状断熱材を吹込みます)、「天井内張断熱工法」(天井材を下地として、板状の断熱材を天井にはっていきます)などがありますが、断熱効果の高いのは(断熱材の種類・厚みによって変わりますが)、屋根材のすぐ裏側を断熱する上記の2種類です。
限られた予算の中で、最も重要視するのは【屋根の断熱】である事をご理解ください。
全くの余談ですが、以前、君津市でエコリフォームをおこなったお施主様宅の車庫(屋根は金属製の屋根です)で、屋根材の裏側を発泡ウレタンによって断熱しました(↓)
それまで、夏は暑くてたまらなかった車庫(車の中まで猛烈に暑くなってしまっていて、冷房をしばらくかけてからでないと運転できなかったそうです)が、暑くならなくなったそうです。
「いままでと違って、すぐに運転できるようになりましたよ(笑)」
とお施主様も効果を実感していました。やはり、エコリフォームの基本は、まずは「屋根断熱」なのです。
追記:
全くの余談ですが、放射冷却を利用して「屋外用冷蔵庫」を造っているサイトを発見しました。
面白いアイデアですね(↓)