寒冷地での基礎断熱について(敷設断熱について)

taigakiso003.jpg
【ご質問】
地熱住宅セミナーにおいて、
「寒冷地では通常の基礎断熱にプラスして、基礎の周りにも断熱材を敷設します」
とお聞きしました。

基礎の外側に断熱するのはイメージできるのですが、基礎の周りはどのようになるのでしょうか?

(回答)
・最近、基礎にも断熱する住宅会社が増えてきました。「住宅版エコポイント」のおかげかもしれません。地熱住宅の場合、必ず「基礎の外側」を断熱します。これによって、地中が保持する【地中熱】を住宅内で利用することができます。
*余談ですが、基礎の立ち上り部分の「内側」を断熱しながら「基礎断熱」と提案している住宅会社もあるようですが、内側ではなく「外側」を断熱するのが本来の「基礎断熱」です。

・また、地中熱利用をおこなう場合、基礎「外側」の断熱は地中にも入り込みます。
下記の写真をご覧ください。(写真をクリックすると拡大表示されます)
*掲載してある画像は、寒冷地/長野市近辺で【外断熱の地熱住宅】を建築している大賀さんの建築現場における写真です。*画像をクリックすると拡大表示されます。

taigakiso002.jpg

写真では、基礎の外側に断熱材があります(天端をご覧ください)。
そして、断熱材の外側は必ずモルタルで保護するようになっています。モルタルで保護する理由ですが、下記の2点です。

1)工事中、断熱材が紫外線で劣化するのを防ぐため。
・断熱材はポリスチレンフォームもしくはフェノールフォームを使用します。どちらの断熱材もプラスチックですので紫外線の照射によって劣化します。

・断熱材メーカーによると、数か月間太陽のもとに放置しておいても、表面の1,2ミリが劣化する程度とのことですので、特別に「紫外線劣化」を気にする必要はないのかもしれません。そのため、「外断熱住宅」を建築しているハウスメーカー・工務店さんの中には、このように断熱材の表面を保護していない会社もありますが、それは決して間違いではありません。表面を覆わなくても正しい工事方法だとご理解ください。

・参考情報として、下記もクリックしてご覧ください(↓)
(断熱材の紫外線による劣化防止について)【外断熱材の外側にある白い紙はなんですか?】


2)断熱材をシロアリから守るため。
・断熱材はシロアリ防除対策をおこなっています。まず、断熱材自体がホウ酸を含有していて、シロアリが嫌がる性能を有しています。
しかし、地中において、断熱材がシロアリによる攻撃を受けると、表面に細かい傷が発生して、そこからホウ酸が溶脱(ホウ酸が土中の水分に溶けだすこと)する可能性がゼロではありません。
そこで、ホウ酸の溶脱を防ぐため、断熱材の表面をモルタルで保護します。

・なお、基礎断熱材のシロアリ対策については、下記もクリックしてご覧ください(↓)

【基礎外断熱の防蟻処理】
防蟻処理方法を変更したのですか?(基礎外断熱工法専用の防蟻処理方法について)


・そして、寒冷地においては基礎外断熱にプラスして、建物周りにも、水平方向に断熱材を設置していきます。下記をご覧ください(↓)*画像をクリックすると拡大表示されます。

taigakiso001.jpg

寒冷地においては、建物の下(地中)に冬の冷熱ができるだけ伝わらないようにこのような特殊な基礎断熱をおこないます。