家全体の空気の流れについて
【ご質問】
リビング階段は必要条件でしょうか?階段が端なら代わりに吹き抜けを中心にすればよいのでしょうか?
図では良くわからないのが換気システムのパイプのようなものは壁や柱の中に隠れているのですか?
(回答)
・まずは「家全体の空気の流れ」を作り出す【24換気システム】の概念図をご覧ください(右図:画像をクリックすると拡大表示されます)
なお、この概念図の中には、地中熱利用のための【床下システム】も一緒に書かれてあります。
・屋根裏には、ファンが設置してあり、コントローラーによって、季節によって空気の流れをコントロールしています。
*換気システムに関する詳しい内容については、下記をクリックしてご覧ください(↓)
○【24時間換気システム】について
○「床下システム」(地熱利用システム)とは?
○「床下システム」の切り替え時期はどうやって決めたのですか?
このシステム以外に、住宅の内と外の温度差により、家全体では空気の流れ/方向性が決まってきます。
・(「住宅の内/温度」が、「外/温度」よりも高い場合:冬など) 画像をクリックすると拡大表示します。
家全体でみると、上昇気流が発生します。日射が家の中に入り暖められた空気や補助暖房などの暖気は家の上部へ移動します。
・(「住宅の内/温度」が、「外/温度」よりも低い場合:夏など) 画像をクリックすると拡大表示します。
家全体で下降気流が発生します。2階に設置したエアコンで冷房(冷気、もしくはドライ運転で除湿された冷気)は家の下部へ移動します。
(余談ですが、換気システムにおいて、季節の違いによって給気経路を変更するシステムで特許を取得しております。また、給気経路の切り替え時期についてですが、住宅の外側/外壁面に設置してある温度センサーの検知情報によって自動的に切り替わります。詳しい内容は下記をご覧ください)
○地中熱利用システム(エコシステム)のコントローラーが新型になりました!
・エコホームズで開発した24時間換気システムは、「季節ごとに違う家全体の空気の流れ」(上記の内外温度差によってきまる空気の流れ)を積極的に利用しています。そのため、第3種換気において、新鮮空気の取り入れ口は「夏は上部(2階)」で「冬は下部(1階)」からとなっています。
・この空気の流れ(風の道)をうまく利用することによって【住宅内の温度差】をできるだけ少なくしようと計画していますので、できるだけ、「家の中に仕切りは無い方が良い」のです。一般の住宅とは逆になります。
また、上下方向の空気の流れを円滑にするには「吹き抜け」などがあるとよりベターになります。
・しかし、間取りによっては「吹き抜け」がどうしても取れない場合も多いのです。その場合、階段部分をうまく利用して「上下の空気の流れ」を円滑にするようにします。
この場合、階段の設置場所ですが、無理にリビングに接する必要はありません。ただし、風除室の内側のドアから室内側に入った場所に階段を設置していただきます。
*風除室については下記をクリックしてご覧ください(↓)
○風除室は絶対に必要ですか?
玄関ドアを入ると、さらにドアがあります。その玄関ドアと内側のドアの間の空間が風除室です。そのため、「玄関ドアを入ってすぐに階段がある間取り」や「玄関の吹き抜け」は原則として禁止としております。
・階段の設置場所についてですが、ベターなのは、下記のようにリビングに接する方法です。
・しかし、リビングに接していなくても、風除室よりも室内側であれば、どこに階段を設置しても大丈夫です。下記の場合では、リビングとキッチンの間に階段が設置されています。
・間取りを作成する際、私達が家全体の空気の流れも考えて設計をおこないますので、まずはご希望の位置をお話しください。階段を端にした場合でも、別に吹き抜けを設置する必要はございません。
・また、換気システムの配管(ダクト類)は「壁の中」と「1階と2階の間=天井ふところ」に隠してあります。上下部分の配管については、下記の写真のように露出させることも可能です。*画像をクリックすると拡大表示されます。
【ご質問】
・補助暖房機や他のエアコンの使い方次第では、自然な圧力差を利用して通気幅木から自然な空気の流れをつくる?ために逆に作用してしまうことがないでしょうか?
家族は各々適する体感温度が違うので個別の部屋で暖房やエアコンを強くしてしまいます。
(回答)
・前述の回答では「家の中に仕切りは無い方が良い」と説明いたしました。ただし、プライバシーの点から、居室などはどうしても仕切り壁とドアが設置されます。そして、場合によっては(ご家族それぞれの体感の違いによっては)、2階の個室などでそれぞれ冷暖房をおこなう場合も当然あります。しかし、それぞれの個室で、それぞれの温度設定で冷暖房をおこなっても、家全体の空気の流れには大きな影響を与えません。(個室のドアを閉め切って、それぞれの部屋内で冷暖房をおこなっても影響が無いように換気システム等の設計をしています)
・各部屋のドアを閉め切ったとしても、「個室の外」と「個室内」の空気が出入りできるように、壁に通気口が付きます。下記の写真をご覧ください。
各部屋の天井には「部屋の中の汚れた空気を捨てるための排気口」が設置されています。
そのため、部屋の外から中へ常に空気が流れ入ってきます。これにより、部屋の中が「部屋の外(ただし、室内側)」と大きな温度差が発生しないように設計してあります。
・実際に生活されている方に確認していただけるとわかりやすいのですが、6~10畳程度の個室内にエアコンなどを個別に設置しますと、外断熱・高気密住宅の性能によって、「夏はすぐに寒くなり」、「冬はすぐに暑くなり」ますので、冷暖房器具をフル運転させるようなことにはなりません。仮に、そのように生活されたとしても、風の流れ的には全く悪影響はありません。
【ご質問】
・床下システムの空気は床下の中心付近から細分化した床下の隅までゆきわたるのでしょうか? 3種なので蛇のようなパイプは天井の排気ダクトだけと解釈します。
(回答)
・床下システムの「床下内の配管」ですが、方位/間取り等によって変わりますが、下記のように配管になります。*画像をクリックすると拡大表示されます。
床下内は人が通り抜けられるようになっており、それを利用して配管を設置します。これによって、床下全体を空気が流れるように設計しています。
【ご質問】
・通気幅木は壁で床ガラリの役目をすると解釈しますがそこにフィルターのようなものがあるともっと気持ち良いと感じます。
(回答)
・その通りです。通気幅木は床ガラリの役目をします。床下空間と1階居住空間の空気の流れを確保するためのものです。
・ご心配されているのは、その空気の流れによって、床下のホコリなどを1階居住空間に持ち込んでしまうのではないか?ということだと思います。
ぜひ一度、実際の地熱住宅で体験していただくとわかるのですが、通気幅木部分の「空気の流れる量」ですが、それほど多くはありません。ユルユルと空気が流れる程度です。通気幅木は、1階全体(ただし、水周りは除く)の長さで床ガラリの役目をしていますので、床下のホコリ・ゴミなどを1階まで持ち上げるほどの風量がありません。
・先日、岩手県に建っている「寒冷地型地熱住宅」のモデルハウスにおいて、気流測定器によって、通気幅木部分の風量を確認してきました。ユルユルと空気が流れる程度なのです。
*寒冷地型地熱住宅については、下記をクリックしてご覧ください(↓)
○ecoハウス研究会/全国大会を岩手県一ノ関市でおこないました!(平成23年1月20日~21日)
○興奮しっぱなしの2日間!
・床下のホコリやゴミをどんどん吸い上げるほどではないのですが、床下はきれいである方が気持ちが良いです。そこで、お引き渡し前に、床下を掃除機で清掃するようにしています。