24時間換気システムによって臭いが家全体にまわりませんか?
【質問】
ところで循環換気システムでキッチンでの料理の匂いやお香の香りなんかが、ぐるぐる循環して他の部屋にもうつることは無いのでしょうか?
地熱住宅に限らず最近は24時間換気システムが取り入れられていますので、皆さんのお家はどうなのかなァーと素朴な疑問です。
【回答】
・非常に鋭いご質問です。そして、この臭い(ニオイ・匂い)の問題は、24時間換気システムが設置されていても、「問題になる家」と「問題にならない家」があります。それをご説明いたします。
・さて、回答の前に「24時間換気システム」について少し解説いたします。
住宅用の換気システムには、2種類の方法があります。「第1種換気」と「第3種換気」です。
①第1種換気: 家の中の汚れた空気を外に出す(排気)と外の新鮮空気を家の中に取り込む(給気)を機械(ファン)でおこなう方式。熱交換器(全熱交換と顕熱交換の2種類があります)が付きますので、寒冷地で多く採用される方式です。
②第3種換気: 家の中の汚れた空気を外に出す(排気)を機械(ファン)でおこなう方式。汚れた空気を外に出すと、家の中が負圧(マイナス圧)になるので、その圧力差によって、自然に外の新鮮空気を家の中に引き込みます。
*ちなみに、第2種換気とは「外の新鮮空気を機械(ファン)によって建物内に引き込む方式」です。建物内が正圧(プラス圧)になるので、それによって建物内の空気が外にでます。クリーンルームなどがこの方式です。
また、第3種換気においても、大きく分類すると、下記の方式に分かれます。
A)各部屋やリビングなどの汚れた空気をダクトによって排気します。
・外からの新鮮空気の給気経路もダクトでおこないます。
B)キッチンやトイレから汚れた空気を外に排気します。
・各部屋に給気口が設置してあり、外から直に新鮮空気を取り込みます。
さらに、第1種でも第3種でも、家の中の換気を効率的におこなうには【住宅が高気密であること】が必要になります。ですから、高気密住宅ではない一般の住宅に24時間換気システムを設置しても、それだけで家の中が十分に換気されているとは限りません。
ところが、高気密住宅であり、さらに効率的な換気システムが設置してある住宅でありながら、「匂い・ニオイ・臭い」には弱い住宅をみかけることがあります。技術が進んで超高気密住宅になっているのに、それに見合う換気量を確保していないからです。換気を軽視している結果です。
換気量が足りないと、「風の道」(家の中の空気の流れ)に乗って、家全体に臭いが充満してしまい、臭いだけではなく、湿気もまわってしまう可能性さえあるのです。24時間換気システムを設置しても、中途半端な気密であったり、また効率のよいはずの高気密であっても、給気と排気の量、その経路に配慮が足りない場合は、匂いの問題が生じてしまいます。高気密住宅はそれに見合う換気システムが命です。
そこで、その対策として、地熱住宅では下記の方法が採用されています。
①臭いの発生を極力抑えること。
・家の中ではタバコを吸わない。臭いの発生する燃焼系暖房機を使用しない。
・ただし、どうしてもタバコを吸いたい場合、「喫煙場所」を1箇所決めていただきます。そこには、スイッチによって、一時的に排気量を増やすことが可能な「排気口」を設置します。
②調理の臭いは、24時間換気システムから切り離して、すぐに家の外へ排気すること。
・キッチンでは、排気と同時に給気もおこなう「同時給排型換気扇」を設置します。これにより、調理によって発生する臭いを「風の道」に乗せないで速やかに排出するようにしています。
③トイレは24時間換気に組み込むこと。
④フロ(浴室)は24時間換気に組み込まない。排気のみにして、湿気をすぐに外へ捨てる。
このようにすると、ご心配されているような「臭いが家中充満すること」は防ぐことができます。
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ご質問をいただきまして誠にありがとうございます。ご不明な点がありましたら、いつでもご連絡ください。