「地熱住宅」は温泉が出るような地域でないと建てることができませんか?

【質問】
「地熱住宅」は地熱を冷暖房に利用するということですが、地熱のイメージとしては「温泉の熱」ですが、温泉がでない地域では建てることができませんか?

(回答)
・同じ内容のご質問をたくさんいただいております。誤解される表現方法で申し訳ございません。
・【外断熱の地熱住宅】は、温泉などの熱源である「マグマの熱」を利用したものではありません。

その違いをご説明いたします。

(2つの地熱とは?)

・「地熱利用」における【地熱】は、2種類あります。
一つは「マグマの熱」による【地熱】です。温泉や「地熱発電」などがそれにあたります。

もう一つの地熱は「地中熱」のことです。これは「日射熱(太陽)」や「外気温」が地表面を暖め、それが地中に伝わって蓄えられた熱のことです。

・私達だけではなくハウスメーカーも「地熱利用冷暖房システム」という表現を使っていますが、「地中熱利用」が正しい表現方法です。

・原理としては、下記の図をご覧ください。
(実際に地中温度を測定した結果を図にしました。千葉県成田市での測定結果です。赤い色の部分は温度が高い状態です。画像をクリックすると拡大表示されます。)

①5月20日での測定結果

②7月20日での測定結果

5月20日の図と比較してください。5月20日に比べて日射量が増え、さらに外気温度が上昇しているため、その熱によって地表面が暖められているのがわかります。


③9月20日での測定結果

7月20日に比べると、地表面の熱が地中に伝わっている様子がわかります。土は熱を伝える性質がありますので、地表面の熱は地中へじょじょに伝わり蓄えられていきます。


この「地表面から伝わり、蓄えられる熱」が「地中熱」です。

そして、熱が伝わる速度がゆっくりであるため、外気温度と地中温度では差が発生します。外気と地中(地下5メートル程度)で比較しますと、「夏 外気が暑い時、地中温度は15度程度」になり、「冬 外気が寒い時、地中温度は18度程度」になっています(関東地方において)。

*注意:上記の測定データ(図)は「外断熱の地熱住宅」が建っている土地の地中温度を測定したものです。そのため、建物が建っていない部分の地中温度も「地熱利用システム」の影響を受けているため、上記の記述とは違いが発生しています。千葉県銚子市における地中温度のデータを下記に記載いたします。こちらは一般住宅が建っている土地の地中温度です。(画像をクリックすると拡大表示されます。)

「夏の暑さを冬に持ち越して利用する」「冬の寒さを夏に持ち越して利用する」、これが地中熱利用冷暖房システムの原理です。

地中熱は各地域の日照量/平均気温によって変動しますが、日本全国(世界各地もです)どこでも「地中熱」は存在しますので、温泉が出ない地域であっても全く問題無く「地中熱の利用」が可能です。