I様から御感想をいただきました!(ありがとうございます)
エコホームズ 玉川 様
ガイドブックをお送りいただきありがとうございます。
私は、主にRC造の建設・工事監理に携わっている建築屋です。
住宅は殆ど関わったことがなく、在来軸組み工法にて建てた自宅もそろそろ建設後30年近く経過してきましたので、大規模リニューアルを行う必要を感じて資料請求をさせていただきました。
マンション建設も経験して、15年ほど前かと思いますが「史上最大のミステーク」の本を読み、「EV外断熱工法」を知ってから外断熱の合理的な考え方に共鳴させられ、住宅でもやがては外断熱が主流になるのではと思っていました。
しかしながら、NPO 法人伝統木構造の会を主催されている会長 増田一眞先生に平成9年頃お会いし、明治以降に欧米の合理的な力学構造が取り入れられて普及してきた軸組み構造の問題点を教えられたことや、先人の知恵により生み出されてきた伝統工法の耐久性など、100年以上の耐久性が得られる木造建物のあり方を考えると、合理的な建物断熱性能のみを価値観に捉えて判断してもいいのか、常に疑問を感じざるを得ませんでした。
ご案内のとおり、シックハウス対策は建築屋として居住者に健康被害を与えてはならない大変重要な課題になってきていると思います。近年、過度なまでの清潔感を求める風潮が広がり、そのため体の回りの害の無い微生物が減少するのと相反して化学物質過敏症も増えてきているといわれています。
このため、建築基準法でも規制されてきていますが、未だ規制されていない化学物質もあり、今後解明が進んでいった場合、さらに規制すべき化学物質が出てくるのではないだろうかと考えさせられます。
高気密高断熱住宅では、高分子系(石油系)の防湿シートを張り気密が確保されていますが、プラスチックや塩ビなど石油系の材料は空気中に微量ながら化学物質を放出して分解されていくとのこと。もちろん、人体にこうした影響を受けないためにも24時間換気を行っていくことも重要でしょう。
お送り頂いたガイドブックにも取り上げられていましたが、今後多くの建物が解体時期を向かえ廃棄物となった場合、その処理も大きな社会問題になってくることも心配されます。
最近では、建築計画を行う際、LCC(トータルランニングコスト)も検討することが求められています。解体処理する際、環境負荷を与えないことも社会的に問われてきていると思います。
増田先生の知り合いで私の師匠である方が家を建てた際、無垢材を主に使い気密のため4mmベニヤを下地に建てられました。ある程度の隙間風を許容し、人間の体を季節に順応させて生きていくことを重視されたのです。
家の寿命が長くなってくると、そこの家で何世代も生きていくことになりますが、最近、空調設備の整ってきた住環境から赤ちゃんの汗腺が少なくなってきているとも聞かされます。(木造の保育施設を計画した際、近くの小児科の先生から幼児期の子育てについての講習で聞かされました。)
いろいろと考えさせられますが、「地熱利用」については大変参考になりました。公庫の仕様によると、関東地区ではシロアリの被害が懸念されるため、基礎の内側断熱が標準となっているとか。
最近では、基礎の外側に使う断熱材でもシロアリの食害を受けないよう、ステンレスのネットで覆う製品も出てきているとか、モルタルすらも食い荒らすシロアリに対して、絶対ありえないではなく、外壁通気層に進入する危険も外側断熱工法で気になる点でございます。
伝統工法は確かに手間が多くかかり、一部の限られた人しか建てられないでしょう。しかし、究極の健康住宅は無垢材を使用し、自然素材で仕上げを行うことにあるかと思います。
外壁側に構造用合板を張り耐力を持たせて断熱材の受けとする方法より、無垢の杉板18mm程度を相欠きにてお互いに交差するよう斜めに張ることによ、構造体回りの通気を確保し耐力も得る方法を試してみたいと考えています。(そう、住友林業の仕様にある木摺をパネルかしたものと同様な考えです。)
また、他の工務店では、無垢の杉板30mmを柱や張りの外側に張り外断熱の下地材としている方法もあります。(内部空間はそのまま表しです。)
ガイドブックの内容を拝見して、玉川さんはだいぶご謙遜されていますが、さぞかし私よりももっと多くの事例や施工方法をご存知のことと存じます。
100年経っても間違いでは無かったと思える建物を生み出していきたいですね。そのとき、材料も同じものが入手でき、同じように建てられることを。
大変お返事の内容が長くなってしまい恐縮ですが、お送り頂いたお礼の気持ちを込めてしたためさせていただきました。