(断熱材の紫外線による劣化防止について)【外断熱材の外側にある白い紙はなんですか?】
【質問】
近所の工務店が建築している外断熱住宅の場合、青い断熱材の上にそのまま胴縁をつけてあります。御社の場合、断熱材の表面に紙のようなものをつけてありますが、なぜですか?
(回答)
確かに、外断熱工法を施工している会社によっては、外断熱材(青い色の断熱材=発泡ポリスチレンボード)がず〜と見えている状態になっている会社が多いですね。全てではないですが。
私達の場合、外断熱材の外側に「デュポン製タイベックシート」(白い紙のようなもの)を貼ります。
(下記の画像をクリックすると拡大表示されます)
通気胴縁を外側に取り付ける前に、まずは壁の外側にある断熱材の表面をタイベックシートで覆います。(画像をクリックすると拡大表示されます)
タイベックシートは「防水・透湿」の性能をもっています。
そして、一般的には、このタイベックシートは【充填断熱=内断熱=一般的な住宅】用に使用します。
どんな目的で内断熱住宅に使用するかと言うと:
(内断熱住宅でタイベックシートを使用する目的)
防水:外壁材から入り込んできた雨水をシートの中に入れません!
(つまり、木材や内断熱材を雨水で濡らしません)
透湿:壁の中(つまり、断熱材が充填されてあります)からの湿気を外に放出します!
(つまり、壁の中の断熱材で結露しても、結露水を外に放出します)
上記は、タイベックシートのサイトに書かれてある内容をもとに説明しました。
それによって、本当に「壁の中、つまり断熱材の中が乾燥するのかどうか?」については異論がありますが、ここでは書きません。
ところが、外断熱材(青い色の断熱材=発泡ポリスチレンボード)は、その素材が「雨水・湿気を非常に通しにくい性能」があるため、一般的には、「外断熱住宅の場合、タイベックシートを施工する必要がない」のです。
そのため、目撃された工務店さんは「正しい外断熱施工をおこなっている」と言えます。
それでは、なぜ?私達がわざわざタイベックシートを外断熱材の外側につけるかと言うと「紫外線による断熱材の劣化防止のため」です。
下記の写真をご覧ください。(↓)
これは、「外断熱材が紫外線で劣化している状況」です。
色の変わっている部分が劣化したところです。
実際、数ヶ月間放置しておいても、紫外線によって劣化するのは、ほんの表面だけです。ですから、大きく断熱性能が低下することもありません。
そのため、「タイベックシートをつけなければいけない!」ということでもありません。
ただし、外断熱材が紫外線で色が変わっていくのを見るのは、ちょっと・・・・、嫌ですよね。なんか、お施主様にも申し訳ないというか。
そんな、ちょっとした理由で、私達はタイベックシートをつけています。
ちなみに、基礎の外側も「断熱材の紫外線劣化対策」のため「断熱材を保護するためのモルタル」で覆います。(画像をクリックすると拡大表示されます)