鉄筋RCと外断熱

【御質問】

初めまして。
当方、鉄筋RC構造の家に住んでおります。築33年が経過し、大規模なリフォームを考えております。
住宅雑誌から鉄筋RC構造に対応できそうな建築会社を探し、話し合いを進めるうち、「外断熱」という工法を勧められ、「さらに「いい家」を求めて」という本をいただきました。
その本には木造で外断熱&ソーラーサーキットの家作りが書かれていましたが、我が家は鉄筋です。
建築会社は、鉄筋の構造体の外側に通気層を作ろうとしているようです。
本では内側通気層の内側は石膏ボードになっていますが、我が家のようなコンクリートの厚い壁でも同様の効果は得られるのでしょうか。
建築会社の社長さんは、コンクリートこそ最も適した素材と言っています。同様に外断熱&ソーラーサーキットで家作りをしている工務店さんは、「鉄筋RCはソーラーサーキットには向いていない」と言われたそうです。
いったいどちらが正しいのでしょうか。
ご回答いただけると助かります。よろしくお願いいたします。

【回答】

こんにちは。玉川です。お問い合わせをいただきましてありがとうございます。

さて、先に結論を申し上げますと、
【建築会社の社長さんは、コンクリートこそ最も適した素材と言っています。】
これ(↑)が正しいです。

本来、【断熱材】は「外気温度の変化に影響されない室温」を得るためにおこなうものです。内断熱・外断熱ともに同じ目的で使用します。

そして、RCの場合、外側を断熱するとコンクリートが蓄熱体として利用できるので、木造住宅に比べて、はるかに室温を安定させる目的が達成できます。(つまり、外気の急激な温度変化に対して、室温を安定させる力が強いわけです。)

単位体積あたり、その重量が重いほど、蓄熱量が増えますから、RCの方が木造よりも、室温を安定させる力が大きいのです。(ただし、外側で断熱した場合です。内側に断熱すると、蓄熱体として利用できませんから。)

さらに、RCの外側に断熱すると、コンクリートの中性化を防ぐ作用もありますから、RCの場合、2重の意味で外断熱の方がよいのです。

ですから、

【建築会社の社長さんは、コンクリートこそ最も適した素材と 言っています。】
が正しいのです。

一方、通気層の役目は「通気層、つまり空気の層が断熱効果を持つこと」により、下記の効果が期待できます。

(外断熱において、通気層は2種類あります。
・断熱材の外側の通気層
・断熱材の内側の通気層

 です。)

①外壁材(外断熱材の外側に施工する外壁です)の熱を直接断熱材に伝えないこと。

②構造材と内装下地材の間にある通気層によって、室内への熱伝導をさらに少なくすること。

②の効果は木造住宅において必要であり、RCでは特に必要ないと思います。

なお、木造住宅においては、構造材(木材)を呼吸させるため②の通気層が必要になります。

なお、ソーラーサーキットは木造住宅に特化した「外断熱」ですから、工務店の社長さんが言う

【同様に外断熱&ソーラーサーキットで家作りをしている工務店さんは、「鉄筋RCはソーラーサーキットには向いていない」と言われたそうです。】
というのは、その工務店さんが「外断熱」の本質的な意味/目的を理解していないだけだと思いますが。

以上です。

上記の回答は、あくまでも、「RCにおける外断熱」という意味でご判断ください。
決して、ソーラーサーキットとの比較論ではありませんので。

それでは。
ご返信まで。