【長生きできる住宅】の条件

父と母は5階建マンションの1階に住んでいました。20年以上前に建てられたので、「断熱」はほとんどされていない住宅でした。
冬は結露がひどく、夏は夜になっても涼しくならない中で生活していました。特にひどかったのは「冬の風呂場」と「冬のトイレ」でした。風呂上りには、すぐに着替えて、厚着しないと体の心まで冷えてしまいます。
両親や私達の若い頃はよかったのです。「冬寒く・夏暑い」のが当たり前の生活だと思っていましたから・・・・。

父も60歳を過ぎたころから「冬、お風呂に入る恐怖」を感じてきたようです。とにかく寒がりの父ですから、風邪をひくよりは、入浴を我慢することを優先していました。子供達3人が独立し、私がたまに自宅に泊まる時には、その「住宅内の急激な温度差」をあらためて感じることになり、このまま両親が住み続けていると、いつか温度差(ヒートショック)で倒れてしまうのでは?と強く思うようになってきたのです。

そんな両親が「あるきっかけ」から家を建てることになりました。

■老夫婦が家を建てるきっかけ
私は長男(男3人兄弟)でありながら「婿」になってしまいました。さすがに父母の落胆はひどく、なかなか「ウン」とは言ってくれませんでした。
そんな状況でしたから、「すくなくとも、両親の近くに住んであげたい」と私が思ったのも当然の成り行きでした。しかし、会社の場所と実家が車で1時間程度あるので、通勤のことを考えるとなかなか近所には住めなかったのです。

2年ほど過ぎた時、母が突然言い出しました。
「あなたの近所に家を建てたらいいのよね!」

しかし、両親は決して裕福ではないので、豊富な資金はありません。年金ぐらしの二人なのです。とても、土地+建物の費用など捻出できません。さらに、車を運転しませんから、私が住んでいる田舎では満足に買い物にも行くことができません。

どうしたら良いのか???

そこで、すぐ近所ではないのですが、二つの条件にあう場所を見つけました。

〇歩いて行ける範囲内に、買い物・医者などの施設が充実している地域
〇定期借地(50年間)

当時は「定期借地ブーム」でしたから条件に合う土地は簡単に見つけることができました。
*公団が開発した【定期借地】で、200万円程度の保証金を入れれば、50年間借りることができます。相続もできますので、「長持ちする家」を建ててもOKです。

土地は簡単に見つけることができました。しかし、もっとも重要なのはこの後です。私の両親が住む家ですから、「長生きできる家」でなくてはいけません。

長生きできる家」とは、どんな条件・環境が整っていなくてはいけないのでしょうか?

■安心して暮らす条件

年金生活者である両親が【長生きできる】ためには、どんなことを考えたらよいのでしょうか?
【「バリアフリー」(=家の中に段差が無い⇒転倒しない)だけでは充分ではない】のは常識となってきました。「おれおれ詐欺」「悪徳訪問販売」や「空き巣狙い⇒強盗」(治安の悪化)についても対策を考えなければいけません。

【長生きできる住宅の条件】として、まず考えたのはこんなことです。

1)住宅内は当然バリアフリーにする。
2)温度のバリアフリー(住宅内の急激な温度差を無くす)も実現する。
3)「火」の危険を防止する
4)防犯対策
5)いつまでも楽しく、家族に囲まれる生活
6)室内の空気を汚さない=シックハウス対策
7)悪意を持った訪問者を入れない

これらの7つのポイントは最低限実現する必要があります。全て実現するにはどうしたら良いのでしょうか?

■考えればきりがないのです

実際に、両親と家づくりについて話した時、いろいろなことを考えました。
例えば;

段差の無い「バリアフリー」住宅を建てたい。
〇室内を「バリアフリー」にしても、2階建てだと毎日の階段の上り下りが大変。
〇夫婦二人だけなので、もうたくさんの部屋はいらない!小さな家が欲しい。
〇平屋でバリアフリーの住宅にすれば、家の中で倒れることもない。
〇2階建てより平屋で建てる方が建築費は安いのでは?。
〇冬寒いトイレやお風呂で倒れる心配の無い家が欲しい。

このようなことを話し合いました。

そんなことを話し合いながらも、私が不安に思っていたのは;

◎平屋でバリアフリー住宅なら、本当に、家の中でころんだりしないのか?
◎夫婦二人だけの住まいにした場合、子供(私達)や孫達が遊びに来た時、どこに泊まるのか?
◎父が寝たきりになった場合、どんな間取りであれば、母が介護しやすいのか?

でした。

さらに、母から話が出たのが、

★父のイビキがうるさい。別々な部屋で寝たい。
★ボーリング(母の唯一の趣味です)仲間と食事をして帰るころには父は寝ている。そんな生活時間のズレを解消するには、部屋と部屋は離れている方が良い。
★正月は、子供達全員が孫を連れて遊びに来て欲しい。だから、広いリビングが欲しい。泊まる部屋も別に欲しい。
★訪問販売の人は怖いので、家の中から誰が来たのかを確認できるようにしたい。

などという、様々な要望が出たのでした。限られた予算ですが、全て実現してあげたいのです。

例えば、ここに掲載してある写真は「小屋裏部屋」です。しかし、一般の小屋裏部屋は「夏暑く、冬寒い」ので快適にはすごせません。
そこでいろいろと工夫していきました。

外断熱住宅 温度バリアフリー 小屋裏写真 客間