【涙そうそう】
ホテルのBGMで【涙そうそう】が流れた途端、愛娘が歌いはじめました。
まだ3歳半なのですが、しっかりと歌詞を覚えています。
実は、私がこの曲が大好きで、家で口ずさんでいるのを覚えたようです。
【涙そうそう】を聞くたびに思い出すのが、すでに天国へ行ったおばあちゃんのことです。
子供のころはおばあちゃんに毎日面倒を見てもらいました。
「浅草花やしき」「上野 松坂屋の食堂」「上野動物園」などなど、いろいろな場所に連れていってもらいました。
両親が忙しかったので、私はいつもおばあちゃんと一緒でした。
それほどお世話になっていたのに、おばあちゃんに孝行しないまま、私はマレーシアへ行ってしまいました。帰国した時、おばあちゃんが痴呆になっていました。
会っても私のことは明確に覚えていないようでした。
あれほどお世話になっていたのに、それからはほとんど会うこともなく月日が過ぎていきました。
そして、突然、ひっそりと、穏やかに、おばあちゃんは亡くなりました。
不思議なことに、葬式の時に、私はそれほど悲しくはなかったのです。
それでも、おばあちゃんになんのお返しもできなかったことは、今も心に残っています。
昨日、車の中で【涙そうそう】を聞いていた時、妻にその話を初めてしました。
「俺、おばあちゃんに何のお返しもしなかったんだよね・・・・・・」
すると、妻が言いました。
「おばあちゃんにとって、孫のかわいらしさは何よりの孝行だったと思うよ」
「あなたが一緒にいただけで、十分に孝行したんだよ」
その言葉を聞いた途端、どうにも涙がとまりませんでした。
今度、愛娘と妻を連れてお墓参りにいってきます。