【どうして家を建てるのですか?】

【どうして家を建てるのですか?】

「そろそろ家を建てようか」。

人はどんなときにそう思い立ち、決断するのでしょうか?
人生設計のビジョンが見えた時、マンションが手狭になってきた、家族のため、夫婦の老後の人生に向けて、いま住んでいる家が古くなってきたから、親へのプレゼント・・・。

人が家を建てようと思う動機もタイミングも人それぞれです。
でも、共通した思いはおそらくたった一つではないでしょうか。

「いい家を建てたい!」

ということ。これに尽きます。
なにしろ、家を建てるというのはほとんどの人にとって「人生最高額の買い物」であり「人生最大のイベント」です。絶対に失敗したくありません。
ところが、そこでふと考えこんでしまいます。

「いい家って一体どんな家だろう・・・?」

そして、自分が「家」というものに対して曖昧なイメージしかもっていないことにハタと気づくわけです。

家を建てようと思ったときに、あなたは何を頭に思い浮かべますか?
外観、間取り、デザイン、インテリア、設備といったことでっはないですか。
実は、そいういったことは家づくりの本質ではありません。

まずは原点を考えてほしいと思います。
つまり、「何のために家を建てるのか?」ということです。

なぜマンションではなく戸建て住宅でなければならないのか。
そもそも家(住宅)ってどうして必要なのでしょう。
それは過酷な外部環境(暑さ、寒さ、湿気、雨、雪、風、地震、雷、台風、ホコリ、騒音、虫、動物、泥棒など)から身を守るためです。家族を守るためです。もしくは、自分の持っている財産を守るためです。

これらを集約するとたった一つのことになります。

「家族の生命と健康を守るため」です。

そのために家をつくるのです。もちろん、一部には見栄で建てる人もいますけどね(笑)。

ここでもう一度考えてください。
「家族の生命と健康を守るため」には、住宅に何を求めますか?
豪華なインテリアですか?友人がため息をつくほどの最新型の設備ですか?
外観(デザイン)を有名な設計士に頼んで実現することですか?

私はそれらを否定しているのでは決してありません。
ただし、優先順位は明確にしないといけないと思っています。

近年、シックハウス症候群などが問題になっています。これを解消するため建築基準法も改正されました。
シックハウスの原因は、石油を原料とした化学物質が住宅の材料に使われるようになってきてからです。さらに、部分暖房のため、非暖房室の隅や壁の中で「結露」を発生させることになったからです。
結露はカビの発生にもつながり、カビを餌とするダニも発生します。ダニの死骸にはまたカビが繁殖します。ダニの死骸と糞はアトピー性皮膚炎などのアレルギー病の原因物質にもなります。さらに、暖房器具が発達したことで、皮肉なことに家の中に「急激な温度差」が生まれ、それによる健康被害も起こるようになりました。

このように新しい家を建てることで健康を害している人がたくさん発生してしまったわけです。35年の住宅ローンを組んで金利を払ってせっかく建てた家で、家族が病気になったり、家庭内事故死で亡くなってしまったりする、まるでタチの悪いブラックジョークです。このことをみなさんにもっと真剣に考えてほしいのです。

全国各地で「地熱住宅セミナー」を開催しています。
それぞれの地域で、これから新しく家を建てる人が集まって「地中熱利用」について勉強していただいております。
その際、どこの地域でも、必ず最初にお聞きしております。

「なぜ? あなたは家を建てるのですか?」

この時、みなさんからいろいろな意見が出ます。

「今の家がかなり古くなってきたので、そろそろ建替えたい。どうせなら消費税が上がる前に建てたい。だから、今、家を建てるのです」

「住宅ローンを組むのですが、30年近くのローンを組むとなると、そろそろ家を建てないと、定年を過ぎてもローンが終了しないからです」

これらのご意見は全て「家を建てる時期」についてです。

そこで質問を変えてみます。

「誰のために家を建てるのですか?」

この質問に対しては、ほとんどの人が「家族のため」「私達夫婦のため」と答えられます。もしくは、「両親と一緒にすむため、二世帯住宅を建てます」などです。家族のためですね。

「いつ建てるのか?」「誰のために建てるのか?」
この点については、ほとんどの方が明確にお答えになります。

そこで最後の質問です。

「家族のために家を建てる。それなら、どんな家が家族のためになるのですか?」

この時、「家族が気に入るデザイン住宅です」「家族が喜ぶ最新の設備です」
という答えは全くでません。

「家族が健康で長生きできる家」
「子供がよく勉強するようになる家」
「帰宅して、癒される・くつろげる家」

集約すると「身体的・精神的に快適な家」が必要となることは、どなたもよくよくわかっています。

一時、「健康住宅」という言葉が流行りました。しかし、よくよく考えてみれば、健康住宅なんて当たり前のことです。住宅は私達の生命や健康を守るものなのです。しかし、建築業者の多くは、たとえばどうして結露やカビができるのかと聞いても答えられません。

「だいたいどこの住宅でも結露は発生しますよ」

と答えてくれるのがほとんどでしょう。
答えは簡単なのです。温度差があるから結露が発生する、だけのことです。
だったら、温度差のない家をつくればいいじゃないですか。健康住宅といいながら、そういう発想にはならないんですね。
工法の制約があるといった言い訳をして本質的な部分をないがしろにしているわけです。でも、本当に突き詰めて取り組めば、結露が発生しない家づくりも十分に可能です。

はっきり言って、現在の日本の住宅は、外観やデザイン、価格を重視するあまり、家づくりの本質を忘れてしまっているものがほとんどです。
私たちは【外断熱の地熱住宅】という木造住宅をつくっています。家づくりの出発点に立ち返り、どうすれば家族の生命と健康を守る家を建てることができるのか、そのことを愚直に追及してきた結果です。

いま家づくりを考えているみなさんにまず言いたいのは、家族の生命と健康を脅かすものは何なのか、そのメカニズムを勉強して安全な家づくりをしてほしいということです。
そのためにはインターネット・本・雑誌・専門家の話などなど情報収集は欠かせません。かなり大変な作業です。専門用語が多い業界なので、理解することも難しい。しかも、数学のように一つの答えなのではなく、例えば、専門家でも言うことがバラバラです。どれが正しいのか・・・?

また、友人ですでに家を建てた人に聞くと、それぞれ別の話が返ってきます。
決して、答えは一つなのではないのです。

なぜでしょうか?

それは、人それぞれ「住宅に対する価値観」が違うからです。
それぞれの情報・意見・話はどれも正しいのですが、価値観がそれぞれ違うので、100人から話を聞くと、おそらく50~80以上の違った【正解】がでてくるのです。

どれも正しい。そして、どれも間違っている。

このメルマガは下記のテーマを正しいと考えている私が書いていきます。

1)家族が健康に長生きするための環境を実現すること。

2)住宅が長生きできる(長持ちする)ように構造材を腐らせないこと。

3)地球が長生き(地球温暖化防止)するため高断熱・高気密住宅にすること。

したがって、私のテーマと同じ価値観をもっている方は引き続きお読みください。違った価値観の方にとって、このメルマガは「全く役に立たない」ことをはじめに申し上げたいと思います。

最後にもう一度おききしますよ。

「あなたはどうして家を建てるのですか?」


(次号に続く)